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追憶の紋章【4】 -あとがき-

Category : 追憶の紋章【4】
大きなチャンス到来に、目を光らせやる気まんまんのリッちゃん。
そんな彼女が心配でたまらないミオちゃん。
リッちゃんを推薦した事に、少し後悔するムギちゃん。

しかし今回の事で、二人の距離はますます深まりました。
が、すぐにリッちゃんは危険なお仕事へと向かって行きます。
ミオちゃんはただ無事を祈るばかりです。

それではまた次のお話で。ではー。

「追憶の紋章【4】 晩夏の異変」を読んで頂きありがとうございました。
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テーマ : 二次創作:小説
ジャンル : 小説・文学

追憶の紋章 【4】 晩夏の異変 -08-

Category : 追憶の紋章【4】
ミオはもう泣いていなかった。
私から静かに離れると、彼女はすぐ後ろにあるベッドに腰掛ける。
ミオは顔を俯かせながら、一瞬躊躇した様子を見せた後、私の服の袖をそっと掴んだ。
「ミ、ミオ?」
「…今日はずっと側に居て」
顔を俯かせたまま照れているのだろうか、顔を紅く染めしながら、私の服の袖をギュッと掴むその手は震えている。私はしばらくして彼女の言っている意味を理解した。と、同時に急に心臓が激しく音を立てて動き始める。
激しくなるばかりの胸の高鳴りが、直接頭の中に響いてくるようで、少し眩暈すらした。

思わず少し固まってしまい、しばらく身動きができないでいた。
するとミオがもう一度、私の名前を呼んだ。
「リツ」
上目遣いに潤んだ瞳で、私を見つめる彼女を見た瞬間。
私はすべての呪縛から解放されたような気がした。
「ミオ!」
私はミオの頬に手をあてて一度キスしてから、そのまま彼女に覆い被り二人してベッドに倒れこんだ。柔らかいベッドが私たちを受けとめてくれる。
「リツ…」
私の下にいるミオの涙で濡れた黒い瞳が、私の姿を映している。
私はなぜか溜まらない気持ちになって、彼女の唇に貪るように自分の唇を合わせた。

そのまま朝が来るまで私たちは何度も唇を交わし、互いの肌を合わせた。

何度も何度も「好き、愛してる」と、互いに言い合いながら…。

To be continued…

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追憶の紋章 【4】 晩夏の異変 -07-

Category : 追憶の紋章【4】
***

何度か入った部屋。
いつも暗くなるとついているたくさんの蝋燭は、今日は一つもついていない。
「ミオ」
私の声が闇の中に響く。
「…リツ」
小さな声が部屋の奥から聞こえた。
私は闇の中を月明かりだけを頼りに、声の聞こえた方に向かう。
彼女は広い天蓋付きのベットに腰掛けていた。
私が近づく気配を感じても、じっとして身動き一つしない。

「ミオ」
もう一度、私は愛しいその名前を呼ぶ。
部屋の中は薄暗く彼女がどんな顔をしているのか見えない。
もう少し近づこうとして、不意に立ち上がってこちらに来た彼女に抱き締められた。
「リツ」
私を名前を言うその声は震えていた。
彼女の背中に手を回して、私も抱き締め返す。

「リツ、どうして…」
「ミオ」
「ドラゴンなんて、そんなの…」
ミオは私の肩に額をあてながら、話すその声は震えていた。
「…大丈夫だよ。ミオ」

必ず無事に帰ってくるから。

私は彼女の綺麗な髪を手で撫でる。
その艶やかな髪は、幼い頃から変わらない優しい感触だった。
「バカ!そんなのどうしてわかる!」
急にミオは私から少し離れて怒鳴った。その声はもう涙声だ。
「バカリツ!そんなのわからないじゃないか!」
もしかして怪我するかもしれない、もしかして…。
嗚咽の交じった声が、ミオに最悪の予想を口にさせるのを拒んでいるようだった。

「…ミオ」
「行かないで、リツ。お願い…」
力なく私にそう懇願するミオに、私は何も答えられない。
ただ彼女をもう一度強く抱き締めるだけだ。
誰もいない部屋で二人寄り添って一つのパンをわけあったあの頃より、ずっと大きくなった私達。どれ程外見が変わっても、この温もりは変わらない。

「必ず無事に帰ってくる」
バカの一つ覚えみたいに同じ事しか言えない私。ミオはもう何も言わなかった。
静かに私の唇に自分の唇を合わせてくる。私も同じように唇をそっと合わせた。
しばらくそうやってミオの柔らかい唇を味わった後、私たちは自然と離れた。
「…リツ」
私の名前を呼んだ彼女を、窓から入ってきた月の光が照らす。

…綺麗だった。誰よりも美しい、愛しい私だけの姫君。

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追憶の紋章 【4】 晩夏の異変 -06-

Category : 追憶の紋章【4】
「リッちゃん。今回の討伐軍の騎士の選出は…」
私は少々憤りを覚えていた。今回の騎士の選抜には、かなり不公平な一面があったから。
思わず私は、その事実を彼女に伝えようとした。
「…それは私にとってはどうでもいい事だよ、ムギ」
そんなことは問題ではない、とばかりにリッちゃんは軽く手を振った。
私が言うまでもなく、やはり彼女も気付いていたようだ。
しかしそんな事は、今の彼女にとっては、確かにどうでもいいことなのかもしれない。
それよりも結成された討伐軍に向かって、王が高々と宣言した内容が何よりも重要だった。

- ドラゴンを倒したものには望みの恩賞を与える。

その言葉だけが、今の彼女には必要なのだろう。

「貴女にもしものことがあったら…」
リッちゃんの願いを聞いた私は、伯爵と共に彼女が討伐軍へ入れるよう強く推薦した。
それが本当に正しい事なのか、と私の胸に僅かな迷いと大きな後悔が広がりつつあった。
もちろん私や伯爵が推薦を拒否したとしても、振って湧いたチャンスを彼女がみすみす逃すような真似はけっしてしないだろうけど。
…それに今回の騎士達の陣容を見ていると、私や伯爵が言わずともリッちゃんは討伐軍の一人に選ばれていたに違いない。
それがわかってはいても、不安な気持がどうしても胸に湧き起こる。

「今更止められるものでもないけど…」
私がそう言うと、リッちゃんは無言のまま一度ゆっくりと頷いた。
「大丈夫、必ず無事に戻ってくるよ」
これまで何度も彼女から聞いた言葉。きっとそう言うだろうとわかっていた。
私は一つ大きく息を吐いた。とにかく私が今、ここに来た理由を彼女に伝えないといけない。
「…リッちゃん」
「ん?」
「リッちゃんは明日の朝まで自由な身ね」
「そうだけど…」
私は手を顎にあてて考え込むように、視線を宙にさまよわせる。
私はここに、彼女の見送りをするためだけに来た訳ではなかった。
スッと私は音もなく立ち上がる。
「ムギ?」
「行きましょう、リッちゃん」
急に立ち上がり手を引いてどこかに連れて行こうとする私を、彼女は不思議そうに見ている。
どこへ行くのかと問いかけられても、私は何も答えず彼女の腕を引っ張っていく。
私は彼女をまずは自室へと連れてきた。私の部屋の隣は、王女殿下の部屋だ。

少し驚いた顔をするリッちゃんを見ながら、私は内心では今夜は誤魔化す為に、かなり強引なやり方をしなくてはいけないかも…と思っていた。
でも仕方ない。今夜ばかりは二人を会わせておいてあげたかった。
何とかしましょう…と私は覚悟を決める。
「ムギ…」
「…ミオちゃん、ずっと泣いてるわ」
それが今夜強引な真似をしてでも、彼女を王女の私室に連れて行く最大の理由。
ミオちゃんは周囲に気付かれてはいけないからと、普段はそんな素振りはみせないようにしているけれど。
「でも夜一人の時はきっと泣いてるわ。大丈夫、ていつも私には言うけど」
「…」
少々危険だけど、今なら討伐軍の出発の準備で忙しいから、いろいろ誤魔化しが効く。

「行ってあげて」
私の自室のドアを開けて、彼女に行く様に促した。
「…ありがとう」
短く私に御礼を言うと、彼女は素早く外を出て一度周囲を見渡し後、隣の部屋のドアを開けて入っていった。

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追憶の紋章 【4】 晩夏の異変 -05-

Category : 追憶の紋章【4】
ドラゴンの出現は間違いなかった。

街はすでにかなりの被害が出ている、との報告が先遣隊の一人からもたらされた。
先遣隊のメンバーも数人怪我をして、そのまま街に残っていることも報告された。
「討伐隊を結成せよ」
王の一言でさっそく騎士団から自薦、推薦が相次ぐ。

リッちゃんは討伐隊に、自ら志願しようとしていたけれど、私はそれを止めた。
一応伯爵と私からの推薦という形で、討伐隊に加わる旨を近衛隊に打診する。
「討伐隊のメンバーに選ばれる事を望むか」
「望みます」
近衛隊隊長から形ばかりの下問があり、それに応じた彼女は討伐隊のメンバーとして正式に認められた。
彼女は自薦でもいいならそれで良かったのに…と少々不服そうだったけれど、推薦という形にしておいた方がいろいろと角がたたないとの伯爵の配慮だった。平民出の彼女があまり顔を出しすぎると、気位ばかり高い貴族出身の騎士たちの反感を買うかもしれないからだった。

一個中隊程の討伐隊が編成され、討伐隊の正式名称は「征竜討伐軍」と命名された。
ドラゴンは一体だけと確認されてるとはいえ、一個中隊編成は人数的には少し少ないような気がするが、なぜかそれに対しては誰からも異論が出なかった。
征竜討伐軍のメンバーは近衛騎士を中心に、残りは一般の兵士以外にも弓兵、神官、宮廷の魔法士達。さらに医師や救護兵等、必要な陣容が揃えられた。

そんな陣容の中、近衛騎士から選出されたメンバーをみて、私は少しだけ違和感を覚えた。
討伐軍の隊長は、王の弟君である王弟殿下の二人の息子の内の一人。
王族までも参戦する事に、私は少々驚いた。
王位を狙う意味で功績を作り、箔つけでもする意図だろうか。
それはいいのだが、他の近衛騎士たちは貴族は貴族でも下級貴族や、リッちゃんと同じ平民出身の騎士で多く構成されていた。
もちろん上位貴族もいるにはいるが、その数は少ない。
それがなぜか、私はすぐにその意図が理解できた。

ドラゴン退治もむろん大事だが、隣国との戦争になった時の事を考え、兵力は少しでも温存しておきたい事。さらに名門貴族の子弟であり、剣の修行もそこそこに、近衛騎士の称号を形ばかりに受け取った上級貴族出身の騎士たちは、恐ろしいドラゴンなどにわざわざお会いしたくないからだろう。
「選ばれし騎士たちよ。わが国の新たな勇者が現れる事を期待しておるぞ」
王の形ばかりの激励を受け、討伐軍は明日の早朝から街へと向かう。
それまでわずかばかりの休息時間を与えられた。

***

「リッちゃん」
私は自室で出発の準備をしていた彼女に会いにいった。
リッちゃんはどうやら準備はもう済ませたようで、椅子に座ってボゥと何か考えているようだった。
私が顔を見せると、彼女は嬉しそうに私を部屋に招きいれ、お茶を出してくれた。
「ありがとう。無事に私が討伐軍に選ばれたのも、ムギと伯爵のおかげだ」
彼女はそう言って軽く頭を下げる。
「…」
御礼を言われるような事を、私は彼女にしたのだろうか。
「…心配しないで欲しい。大丈夫だよ」
どうしても心配で憂い顔になる私に、リッちゃんは明るい声でそう言ってくれる。
それはもちろん私を通して、ミオちゃんにもそう伝えて欲しいと思いながら、彼女は言っているのだろう。

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書き人知らず知らず

Author:書き人知らず知らず
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ジャンルは『けいおん!』律澪
律澪はジャスティス。
いい言葉ですね。

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