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追憶の紋章 【2】 -あとがき-

Category : 追憶の紋章【2】
ミオちゃんに会う為に、ひたすら頑張ってきたリッちゃん。
ようやく念願叶って王宮に入る事ができました。

ですが…まだまだそれだけの事。最初はミオちゃんを遠目で見るのが精一杯。
でもリッちゃんが伯爵の協力を受けているように、ミオちゃんにも協力者が居るのです。

それは一体誰なのか?(て、もう書いてるけどー)
それはまた次のお話で。ではー。

「追憶の紋章【2】 王宮での再会」を読んで頂きありがとうございました。
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テーマ : 二次創作:小説
ジャンル : 小説・文学

追憶の紋章 【2】 王宮での再会 -08-

Category : 追憶の紋章【2】
***

玉座に座る王と、その隣に座る王女の前で私は恭しく片膝をつき、顔を俯かせて王の言葉を待っていた。
「新たな近衛騎士に任命されたのはそなたか」
王の穏やかな声が、私の頭上に降りてくる。
「王のお言葉である答えよ」
玉座の近くに立つ近衛騎士隊長が私にそう告げる。これも儀式の一つだ。
「は」
「そなたの噂は聞いておる。公爵の家族をモンスターから守ったとか」
「いえ、大した事はなにも…」
「謙遜だな。苦しくない、立って面を上げよ」
「…」
王にそう言われても、すぐには私は立てなかった。
顔を上げるのが、前を見るのがなぜか少し怖かったからだ。

「何をしている。王の言葉である、立つがいい」
近衛騎士隊長の言葉に私は剣を前に置き、静かに立ち上がって顔を前に向けた。
あ、と心の中で小さく声を上げてしまうと同時に、体が僅かに震えてきた。
騎士の任命式という式典にあわせた白い清楚なドレスを身を纏う姫君は、長く伸ばした艶やかな黒い髪に、一国の王女として相応しい小さな宝石がいくつか散りばめられたティアラを着けていた。

彼女だ、間違いない…。

そう内心で確信しながら、私は何とか平静を保つよう、表情に出さないようにと努めた。
王の隣に静かに座っている彼女は顔を少し俯かせ、その表情はどこか憂い顔だった。

思わず手が震えるそうになるのを、私はぐっと指に力を入れてこらえる。
「赤枝の騎士よ」
王女の姿に気を取られていた私は、王の言葉にハッとなった。
すぐに手を胸に当てて頭を下げる。
「近衛騎士として、これからも国家と王家に忠誠を尽くしてくれる事を期待しているぞ」
「承知致しました。この身を賭けて誓います」
私は手を胸にあてたままそう宣言する。どこまでも儀式だ。

誓いの宣言をした後、私は少しだけ顔を上げてもう一度彼女を、…ミオを見た。
ずっと顔を俯かせ、騎士の任命などには少しも興味がなさそうな彼女と、ほんの一瞬目が合ったその時。彼女の黒い瞳が徐々に大きく開かせていったかと思うと、不意に体を椅子から浮かせ立ち上がろうとした。
王女のそんな様子を見て、私は慌てて視線を逸らす。
「どうした、姫よ」
「…い、いえ」
父王の問いにさして答えず、王女はまた席に座る。
「では、これにて近衛騎士の謁見を終了いたします」
近衛隊長の声が謁見の間に響いた。王と王女は従者に従われ部屋から出て行く。
私は頭下げたまま、その場からしばらく動かずにいた。

背中ではずっと、誰かの視線を敏感に感じ取りながら…。

To be continued…

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追憶の紋章 【2】 王宮での再会 -07-

Category : 追憶の紋章【2】
正式に近衛騎士と認められると、王族との謁見が許される。
私はその時の事を今でもはっきりと覚えていた。
近衛騎士のみが着る事を許される、黒地に赤と銀色のラインが入った服を着用し、その上から騎士が纏う正式な鎧を身につけ、玉座のある謁見の間に入っていったあの時の事。

十歳の頃、伯爵に拾われてから約五年。
思ったよりずっと早く今日という日が来たのだ。
…そう思いながら、紅いビロウドの絨毯が引かれたその部屋で、恭しく膝をつけた。
私の心臓は高まるばかりだった。

「陛下と王女殿下が参られます」
数年前に王妃が亡くなってから、王はようやく解放されたとばかりに何人かの側妾を持ち、待望の男の子を一人設てはいた。
だが王子は、新しく任命された騎士の謁見などに立ち会うにはまだ幼すぎた。
私に立ち会うのは、王と王の只一人の娘である王女殿下の二人のみ。

***

…バルコニーの中では宴はまだまだ続いている。
「リツ」
「ミオ。もう手を離せ」
「嫌だ」
そう言ってミオは私の手を自分の頬に当てた。
私の心臓が軽快にステップを踏み出す。
「…人が来る」
「嫌だよ、リツ」
ふうと私は一つため息を吐いた。
子供の頃からミオは少し強情な処があったな、と思い出す。

「…今度はいつ会える?」
ミオがそう聞いてくる。
「…わからない」
「ムギにお願いしても駄目なのか」
「…」
お姫様らしくない、少しぶっきらぼうな話し方は幼い頃の癖だ。
そんな癖をつけてしまったのは私のせい。
幼い頃ちょっとしたことですぐに泣いてしまう彼女は、いじめっ子の標的にされやすかった。
言葉使いだけでも強くすれば、いじめっ子に狙われないようになるかもしれない。
そう考えた私はミオと二人で、話し方を変える練習をしたからだ。

「リツ」
「…なるべく近いうちに会いに行く」
「本当に…?」
「うん、必ず。だから手を離せ、ミオ」
ミオは少し躊躇いながらも、ようやく私の手を離した。
「必ず、だぞ…」
ほんの一瞬悲しそうな顔をしてそう言うと、何度か振り返りながらもバルコニーを離れ、部屋の中へと戻っていった。

徐々に遠くなっていく彼女の足音を聞きながら、私はさっきまでミオと繋いでいた左手をじっと見ていた。ミオの利き手が左手だ。ミオの手を握るために出した私の手も左手。
利き手が空いていれば何かあった際、いつでも剣を抜く事ができるからだ。
そんな事を咄嗟に考え行動する私は、もうすっかり「騎士」が様になっていた。

少し火が弱くなってきた焚き木に、私は小さな枝を追加する。
パチパチを枝が爆ぜる音が辺りに響いた。交代の時間はもうすぐだった。

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追憶の紋章 【2】 王宮での再会 -06-

Category : 追憶の紋章【2】
冬の寒さが少しだけ緩み、春も近いことを感じさせたある日。
王族や貴族、さらに周辺諸国の王や貴族たちが参加するパーティーが、王宮で盛大に催された。王宮の広間にたくさんの王族や貴族が集まり、色とりどりの料理が運ばれ、料理人や給仕、女官たちも忙しそうに立ち振る舞っている。

近衛騎士たちは全員パーティーの警護に借り出され、私も王宮の一角に配置された。
広間の外、私の身長より少し高い位置にあるバルコニーの下が私の持ち場だった。
王宮内から音楽隊が演奏する曲の音色と、人々の談笑する声が私の耳に微かに入ってくる。バルコニーに置いてあるかがり火と、すぐ側に置いてある焚き木だけが、私の目の前の闇を照らしていた。

ふと後ろに人の気配を感じた。
振り向くとそこには本日のパーティーの主役が立っていた。
「リツ…」
かがり火に照らされた彼女は、青と白を基調としたドレスを纏い、胸には王家の紋章が入ったペンダントを付けていた。
「パーティーはよろしいのですか、殿下」
今の私は近衛騎士だ。この国の只一人の王女殿下に対する敬意と忠誠を忘れた事はない。
「…パーティーなんか好きじゃない」
王女はそういって顔を俯かせた。その憂いの表情は昔と変わらない。
子供の頃から人一番人見知りだった彼女には、会った事もない他国の王族や貴族達の会話など、さぞ気の疲れることだろう。

「ここは冷えます。お戻り下さい」
春も近いとはいえ夜はまだ冷える。ドレスを着て肩を出している彼女はきっと寒いだろう。
「リツ」
私の名前を呼びながらしゃがみこみ、バルコニーの手すりの間から王女は手を伸ばしてくる。
私は数秒迷った後周囲を見回し、誰もいない事を確認してその手を取った。
「ミオ」
「リツ」
私たちは互いの瞳をじっと見詰めあった。
先日馬車の窓から僅かに見えた、黒真珠のように澄み切った瞳はやっぱり昔と少しも変わらない。

彼女はこの国の王女。

…でも私と施設で姉妹のようにいつも一緒に居た、あのミオだ。

***

伯爵が後見人となり、十歳で訓練生として軍に入隊した私は、二年間の訓練期間を終えて早々に一兵士として軍令に従って任務に就いた。
それから三年間私はどんな命令でも、何一つ文句を言わずにやりこなした。
危険な任務に自ら志願したことも何度もある。
諍いの絶えない国境での警備兵。時折現れ街や村を襲うモンスターの駆逐。
他にも数々の任務に着きながらどうにか生き延び、いくつかの目立った手柄も立てた。

十五になった時、私はすでに騎士叙勲を済ませていた。
さらに王都の近くに出没したモンスターをいち早く倒し、今の王室に連なる公爵の一族を助けた功績が高く評価され「赤枝の騎士」の称号を与えられた。
「赤枝の騎士」の称号は、国家に大きな功績を為したと認められた者だけに与えられ、それを与えられるのは騎士として最高の名誉だとされていた。
王家の紋章は「赤い枝に金色の実」がついたモチーフとなっている。
「赤枝の騎士」には王家の紋章に基づき、剣の周りに赤い枝が絡み合うデザインが施されていた。

騎士の名誉と共に、私はとうとう王宮の近衛騎士に昇進したが、これには伯爵の裏工作も大きく関わっていた。でなければいかに高い功績を挙げたとはいえ、王家直属の近衛騎士に平民出の私がなるのは難しかったろう。
近衛騎士のほとんどが、貴族の子弟で固められていたからだ。

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追憶の紋章 【2】 王宮での再会 -05-

Category : 追憶の紋章【2】
魔法士が去って、部屋の中はまた私と伯爵の二人きりになる。
私が訳もわからず呆然としていると、伯爵はとびきりのいたずらを思いついた子供のような顔をしながら、私に説明してくれた。
…思えば伯爵の時折見せる子供のような笑顔は、六年たった今もちっとも変わらない。

「今すぐおまえさんを王宮に入らせることは無理じゃがどうだ、訓練生に応募してはみんかの」
「訓練生?」
魔法値のある子供は小さくても、王宮の騎士見習いになるための訓練生になる資格を与えられる。二年間の見習いと訓練期間を得てまず一兵士となり、しばらく適性を見た後、騎士見習いへと上がっていく。
「うまく騎士になって、さらに近衛騎士となれば王宮には入り放題じゃ」
「騎士…」
思いもつかないことだった。
戦は今は休戦状態に入っているとはいえ、地方では小さな諍いを繰り返している事は、大人たちの話の中でよく聞いてはいたけれど、それは私にとっては遠く知らない土地の話だった。

「今すぐにはどうにも無理じゃ。だがおまえさんの頑張り次第では、将来王宮に入ることができるかもしれん」
どうかの、と伯爵はその丸いくりっとした愛嬌のある黒に近い青の瞳で、私の栗色の瞳をじっと見つめてそう聞いてきた。
今すぐには会えない。それはなんとなく私にもわかっていた。

それでも私はどうしても、もう一度ミオに会いたかった。

人一倍人見知りで怖がりな彼女は、王宮で一人泣いていないだろうか。
そう思うと今すぐにでも会いにいきたい気持ちが募るが、今はどうしようもないことも幼い心で理解していた。今すぐには会える手段なんて何一つない。…でも未来はわからない。
「なります!騎士になります!」
「ふむ」
伯爵はにっこり笑うと「これはおもしろくなってきたな」と呟いた。
「よし、とりあえずわしがお前の後見人になってやろう」
そうすれば今後ともいろいろ楽なこともあるじゃろうからな。
伯爵は顎に手を当ててどこか楽しそうにそう言った。

伯爵の言った事は事実だった。
その後無事訓練生として軍に入隊した私は、一兵士から順調に騎士見習い、騎士へと昇格していくなかで、伯爵の後ろ盾が事あるごとに助けてくれることになる。
どれだけ手柄を立てようと、所詮平民出の私は伯爵の威光がなければ、こうまで順調に軍で昇格を上げることは難しかっただろう。

こうして私は思いもかけず、騎士となるべき道を歩き始めたのだ。

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書き人知らず知らず

Author:書き人知らず知らず
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ジャンルは『けいおん!』律澪
律澪はジャスティス。
いい言葉ですね。

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