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短編「幸せかもね」

Category : 幸せかもね
11月22日はいい夫婦の日だそうですね。
もうすっかり過ぎてしまったけど、せっかく書けたので掲載させてもらいやす。
やっと短かいお話が書けた。

リズム隊 律x澪パラレルストーリー
いいなづけシリーズの短編です。少しは甘く書けたかも。
二人が子供の頃からの『許婚』というトンデモ設定。
そのトンデモ設定を全然OK!読んでやるぜという方はどうぞ。


- 幸せかもね -

「はあ」
私は今日何度目かのため息をついた。
上履きに履き替えようと手を伸ばすが、今日これから学校で起こるであろうことを予測するとため息が止まらない。
「おい、澪」
「わかってる」
わかってる。覚悟はしている。
…ああ、でもやっぱり今日は家にいて誰とも会いたくないよーな。
「おはよう、秋山さん、田井中」
「あ、…おはよう」
「おは」
靴箱で思案する私と律にクラスメートが挨拶してくる。
彼女達はそのまま何も言わず私達の前を通りすぎた。
うーん、考えすぎだったかな。少し気を取り直し教室へ向かう。
・・・そうだ、私達ももう3年生。受験生だ。
いちいちこんなつまらない事に皆かまっている暇はないだろう。当然だ。
教室のドアを開ける頃には私の気分はずいぶん落ち着いた。

「おっはー」
「おはよう」
「おはよう、りっちゃん、みおちゃん。あのね、今日11月22日はいい夫婦の日なんだってー」
ピシ。頭の中のどこかにヒビが入った音がした。
はや。早いよ、唯。その話題。朝一番に振る話題ですか。
「おい、唯」
「りっちゃんとみおちゃんの日だね~」
律が何かを言おうとしたが、それより早く唯が断言する。
「あー本当だね」「3年2組のおしどり夫婦の日だ」「なんかお祝いでもするの?」
「ヒューヒュー」「おめでとー」
ざわめく教室。たちまち冷やかしの声が上がる。
「ムギちゃんに教えてもらいましたー」
ムギー!!
「とっても素敵な日よね」
うふふと笑うお嬢様。その笑顔になんかいろいろあきらめた。

はい。そこからはお約束通りクラスでからかわれ、廊下で他のクラスや下級生に「お幸せに」と声を掛けられお祝いのお菓子をもらい、挙句の果てには数人の先生から(さわちゃん含む)授業中に「今日は田井中夫婦の日だな」と冷やかされた。
受験生とかなんにも関係なかったんだな。私が甘かったよ。
それにしても、どーしてこんなに恥ずかしい思いを私はしなくちゃいけないんだ!

いくら『いいなずけ』がいるからって!

しかもなんかみんな悪気ないんだよな。下級生なんか本当に心から「お二人の幸せ願ってます」てちょっと涙目で言われて。結婚式じゃないんだから!
しかも。
私はこんなにアタフタオロオロ(自分で言ってて情けないけど)してるのに、律ときたらちっともこたえていないのか「あーどもー」とか「サンキュー」とかいってしっかりお菓子をたくさんもらってる。お前の辞書に「恥ずかしい」という言葉はないのか!

そんな感じで今日一日を終えた私は家に着いた頃にはもうぐったり、グロッキー気味だった。
いや、わかってたよ。こうなる事は。
1年生の時も2年生の時も同じ目にあってますから。
高校では律との『いいなずけ』の関係を隠す事はしませんでしたから。
3年間そうなるんじゃないかなーと思っていました。

律にも朝学校来る時に「あんまり気にするなよ」って言われてる。
気にするなって言われても…。
とりあえずこのやり場のない恥ずかしさや憤りを、隣にいる幼馴染兼親友兼『いいなずけ』にやつ当たりする事に決めた。
「バカ律」
「そろそろ言うと思ってた」
ここは律の部屋。下級生にもらったお菓子を食べながら何事かを悟っているような顔。
「バカバカバカ律」
「理不尽だな」
「なんでお前はそう平気なんだ」
「だって毎年の事じゃん。いちいち照れてたら大変だぞー」
そうかもしれないけど。それに…何バクバク食べてんだよ。
照れながらお菓子持ってきた下級生に「ありがと」てなんか優しくお礼いっちゃってさ。
なんでそう平気で受け取っちゃうんだ!
「いい加減、澪も慣れろよ」
「…律との事冷やかされたりする事?」
そ。と相変わらずお菓子を食べる律。
「慣れない」
「なーんでだよ。じゃあ、それともー」

そんなに恥ずかしくて嫌ならいっそ『いいなずけ』解消しちゃおうか。

お菓子を食べる手を止めて、急に律は私に近づいてそう言った。
「…」
「どうする、澪?」
「…バカ律」
律がにっこり笑った。
「うん。私、バカだ。私自身が出来もしない事言っちゃった。」
そんなの絶対嫌だしー。
「…」
「澪は?」
律の顔からスッと笑いが消えて真剣な眼で私に問いかける。
「…嫌だ」
「何が嫌?」
う。わかってて聞いてるだろ。
でもどこか不安な表情で私を見つめる律に、私は瞳をそらせない。
「律と…『いいなずけ』解消するのは嫌だ」
「へへ、ありがと」
律が安心したように笑った。

時々律はどこか不安そうに私を試すような事を聞いてくる。
私があまりに恥ずかしがるからかな。それは皆にからかわれるのが恥ずかしいだけで、別に律と関係が嫌なわけじゃあなくて…。私の方がずっと…。
下級生からもらった手作りのお菓子をおいしそうに食べる律に、ずっとなんだかもやもやして嫌な気分になっているのに。私だってもらっているけどさ。
「ま、どうせ今日一日だけの事だしな」
「それがすごく大変だったんだけど。…まあそうだな」
こんなのがずーと続いたら私の寿命が縮む。
「でも私は嬉しかったけどな」
「え」
「みんな祝福してくれたじゃん」
お幸せにって。だから素直にありがとうってお礼言ったよ、私は。
いつものいたずらっ子のような笑顔は照れているのか少し赤い。
「そうだな」
私は律に少しもたれかかる。律が私の肩に手を回して引き寄せた。
「幸せかもね、私達」
律の胸に顔をうずめて私が囁くように言うと、「幸せだよ」と律が言った。

end

「短編 幸せかもね」を読んで頂きありがとうございました。
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ジャンル : 小説・文学

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